投資の考察

第三回講義:サブプライムローンの頃のアメリカってどんな国だったんだろう……

コロナショックからの回復段階に入った世界経済は、これからどうなっていくのでしょうか?

このバブルはいつ弾けてしまうのでしょうか?

その参考になるかもしれないのが、サブプライムローン→リーマンブラザーズ破綻の頃の米国かもしれません。

その当時を扱った、読み応えのあった本をご紹介しましょう。

『100年に一度の金融危機から資産を守る方法』(100年に一度の金融危機から資産を守る方法~「レバレッジ」経済を生んだ金融商品を設計した元外資系金融マンが書いた!世界経済新時代の資産運用~)です。

この中でも最も面白かった部分を抜粋してご紹介しますね。

リーマンショック当時の金融危機の本質についてです

当時のアメリカにはこれといった産業がないというのです。GDPに占める製造業の割合はわずか12%で(自動車産業のみなら0.8%)、『金融・保険・リース・不動産』こそが圧倒的な20%に達する主力産業なのだそうです。これって今からすると異次元ですよね? ※ 当時の日本も同じような構成でした。

この産業構造の転換はレーガン政権時から始まったそうで、87年にグリーンスパンFRB議長に指名されたあたりが発端のようです。
グリーンスパンは就任2ヵ月後に直面したブラックマンデー「FRBは流動性を提供する準備ができている」
という短い声明を出して、わずか1日で収拾させるという伝説を作った人物です。

93年、ドル高政策が功を奏して、流出していたドルがアメリカの株式市場へ還元するようになり株高を演出するようになると、投資銀行が幅を利かせるようになり、多数のヘッジファンドが設立、様々なデリバティブ商品が投資家たちに莫大な資産を築かせることを可能にし、それがさらにドル資金をアメリカに汲み上げるポンプの役割を果たすこととなり、金融バブルが加速してゆくのです。

アメリカは国家規模で仕手戦を仕掛け、政府が用意した賭場に客を招いて、予定通りに儲かるように様々な仕掛けを施したといえます。結果、ドルはアメリカ国内で潤沢に循環し、不動産の価値も上がり始めます……

さて今回の金融危機はサブプライムローンが元凶だと一般的には見なされていますが、もしローン返済者の返済不能が問題だというならば、担保物件を競売にかけるだけで済むはずであり、融資を行った金融機関の経営が悪化するだけに留まるはずなのです。

実はアメリカの作り上げた金融モデル『デリバティブズ』『高レバレッジ』という商品特性こそが元凶なのです。

このようなデリバティブズ市場は98年当時には30兆ドルでしたが、07年6月時点で370兆ドルにまで拡大しています。これは世界のGDP44兆ドルの8.4倍にも匹敵する額です!もうパンパンに膨らませられた風船状態といえそうですね。

そして破裂しました。

この発端がサブプライムローンを組んだ低所得者たちが一斉に住宅を手離したことだったのです。つまり、問題は住宅ローンだけではなく、
ハイリスクな投資先であったものが実態が掴めないほど分散化された上に、
効率を高めるためにレバレッジを最大化させた商品が大量に出回ってしまっていたことだった
のです。

経済が悪化してしまったその後では、どの債券で突然評価損が拡がり、レバレッジの逆効果で倍増した大損失が噴出するか誰にも分からなくなってしまっていたようです。

長くなるのでかなり端折りましたが、いかがでしたか?
気になった方は読んでみてくださいね。

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