投資環境

第8回講義:ETFの配当(分配金)

機関投資家が保有を検討する際、重視している項目に、

自社株買い>配当増額>次期決算予測値>決算内容

があるそうです。 ※高橋ダン先生 談

自社株買い・配当増額 共に【 株主還元 】のための施策であり、その企業の株主への意識の高さが伺えます。

今回は配当について情報共有しましょう。

高配当の個別銘柄に投資するのは王道ですが、それよりも低リスクなETFに投資するという手もあります。

♪ ETFの配当(分配金) 

ETFの配当(分配金)は個別銘柄の配当とほぼ同じと考えてよさそうです。

・決算日(権利確定日)に保有していることで配当が確定する

・ETF構成銘柄から得た配当総額が保有者に分配される

< 日本ETF >

権利落ち日は1月か7月に多く、年に1回だけ支払われる

< 米国ETF >

権利落ち日は3月、6月、9月、12月に多く、年に4回も支払われる

こうみると、米国市場は長期的な保有に目が向きやすく、株主を逃がさない工夫がみてとれます。

バフェット流の投資手法もやり易いわけです。

日本市場では権利落ち日前後で株価が乱高下し、インカムゲインよりもキャピタルゲインの損失の方が大きくなるなどリスクを取らざるを得ない状況が顕在しているので、米国ETFの方がお勧めできます。

ただし、米国投資の場合は、二重課税に注意が必要です。

♪ 海外投資の二重課税問題 

二重課税とは、海外投資で利益を獲得した場合に、日本と現地、それぞれから税金を徴収されてしまう状況のことです。

米国個別株や米国ETFから配当金(分配金)などの収入を得た場合、米国の税率(10%)が源泉徴収された上で日本国の税率(20.315%)が徴収されます。

例えば、米国株の利益が10,000円あった場合、米国の税率10%(1,000円)が源泉徴収され、その残額(9,000円)に対して、国内の税率(20.315%)が源泉徴収(1,829円)されています。結果的に手元に残るのは7,171円しかありません。

外国税額控除

ただし、確定申告をすれば米国税の約8割は還付してもらえます。(還付率は所得額による)

♪ お薦め高配当ETF 

米国の高配当株式ETFの中で特におすすめの銘柄をご紹介しましょう。

バンガード米国高配当株式ETF 「VYM」

米国の高配当株式ETFの中でもとりわけ人気が高く、運用歴10年以上の歴史あるETFです。

予想配当利回りが市場平均を上回る大型株約400銘柄金融多め)で構成されています。

iシェアーズ・コア米国高配当株ETF 「HDV」世界最大の資産運用会社であるブラックロックグループが運用する米国高配当株ETFです。エネルギー生活必需品ヘルスケアなどのバリュー株約70銘柄で構成されています。

SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF 「SPYD」

S&P500採用銘柄の中でもっとも配当利回りが高い約80銘柄を自動的に均等に組み入れているETFです。

不動産公益事業なども多く採用されており、売買益よりも配当重視の方向けです。

♪ 米国ETFの取引手数料 

国内の証券会社で米国ETFを取引した場合の手数料をシミュレーションしてみます。

売買手数料 約0.5%

為替手数料 約25銭/1ドル

これくらいがネット証券の標準的な手数料です。2021年5月26日現在のレートで「VYM」100口購入すると……

$106.4 × 100  =$10640 ※購入代金 $10640 / 109円= 976,146円 ※円換算

$10640 × 0.5% =$53.2 ※購入手数料 $53.2× 109円= 5,800円 ※購入手数料(円)

$10640 × 25銭 = 2,660円 ※為替手数料

さらに、売却時手数料0.5%が必要になりますので、最低限14,260円は損失確定してしまいます。

さらに保有期間を1年間とすると、経費料0.06% = $6.384 = 586円

この売買で得られる配当金を3.0%とすると……$319.2 =34,792円 -手数料 =利益 19,946円

およそ100万円の投資で利益約2万円 =2%の配当とも言えます。

ほったらかし投資でも、銀行に預けた時の利息の数百倍は獲得できるのですからお薦めです!

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