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第16回講義:アノマリーを活かそう!投資スキルが高まる!

アノマリー:相場の季節性と周期性

当たるも八卦当たらぬも八卦、とは少々意味合いが異なりますが、知っておいて損はないのがアノマリーです。
「セルインメイ ”Sell in May, and go away. Don’t come back until St Leger day"」や「サンタクロースラリー」などが有名ですね。そうです、相場にはある種のパターンや季節性が存在するのです。
必ずそうなる訳ではありませんが、アノマリーのパターンを頭に入れておくことで、唐突に食らうことなく回避できたり、さらに利益を伸ばすことができるかもしれません。
日本には日本独自のアノマリーもあるかと思いますが、ここでは世界レベルで影響のある、アメリカ市場のアノマリーについてご紹介したいと思います。

12か月の相場パターン──最高と最悪の転換点を知る

■ 8月は閑散 最悪の月のひとつ

9月に新年度を迎える欧米では、8月に長期休暇を取る場合が多く、そのために投資取引も閑散としています。

■ 9月は最悪 1年で最悪の月

9月の相場は高く始まる傾向がありますが、夏休みが終わり、人々が日常に戻ってくる頃には、ファンドマネージャーが第3四半期の決算対策にポートフォリオの株を処分売りするため、9月は平均して1年で最悪の月になります。

■ 10月恐怖症

なぜか10月に暴落が起きることが度々あるので「10月恐怖症」という言葉があります。1929年の大恐慌や1987年のブラックマンデーの株価暴落は、いずれも10月に起こっています。


それとは真逆に、10月は「ベアキラー」とも呼ばれ、しばしば弱気相場に終止符を打つ相場転換の月となるので、現在では1年のうちで株を買うのにふさわしい月のひとつといえます。

8~10月は他の月よりも株価が大幅安になりやすい傾向があるので、新規に買いポジションを取ったり、持ち株を買い増すのに絶好の機会とも言えます。
さあ、この辺りからいよいよ市場のいい波が回ってきますよ!

投資家にとって最高の上げ相場の到来

11月~1月は投資にとって最高の3か月です。株価が上昇する可能性が高いだけでなく、他の月に比べて圧倒的な上昇率になる傾向があるからです。

第4四半期はクリスマスショッピングで個人消費が増え、年末のボーナスが市場に流れ込むことに加えて、機関投資家がその年度の業績を良くしようと努力することで、相場は上昇する傾向が見られます。
その後、新年に入っても、楽観的な見通しや前向きな気分が支配的になって、市場の好調さは維持されます。

こうした特性のおかげで、11~4月は投資家にとって最高の6か月になります。相場の上昇のほとんどが晩夏から初秋にかけて始まり、冬から春にかけて終わりを告げます。

※欧米では12月末を年度末に設定している企業が主流なので、第4四半期は10~12月期になります。

■ 11月から始まる

感謝祭(11月の第4木曜日)から年末にかけての休暇シーズンが始まる11月は、1年で最高の数か月の到来を告げます。
ダウ平均とS&P500では「最高の6か月」が、ナスダックでは「最高の8か月」が11月に始まります。機関投資家の第4四半期の資金が市場に入ってくるのです。

■ 12月のサンタクロース

相場が12月に急落することはめったにありませんが、そうなるときには、たいてい相場の転換点であり、天井か底に近いということです。
一方、下落相場に苦しんだ後に12月も急落するようなら、間もなく上昇が始まると思ってよいでしょう。

月の前半は、節税目的の売り年末のポートフォリオの見直しが最高潮に達するので、相場は弱くなる傾向にあります。

市場がクリスマス休暇に入る前後からその年最後の5日間と新年の2日間に大きな上昇が起きることがあり、これは「サンタクロースラリー」と呼ばれています。
サンタクロースラリーがなかった翌年は、弱気相場になるとも言われています。

■ 1月は1年のバロメーター

年初になると必ずこの話題が出ますが、「1月最初の5日間」によって、その年の市場環境を占うことができます。1月最初の5日間が上昇した年は好調な一年になることが多いようです。
年間の相場は1月の動きに似るという「1月バロメーター」は、これまで大きく外すことはほとんどありませんでした。もし1月に下落した場合、その後に経済か政治か軍事面で問題が発生したという事例がしばしばあります。

1月に予測力があるのは、議会が新たに招集され、大統領が一般教書演説をして年間予算を提示し、国家目標と優先事項を決めるなどの重要なイベントが多いからです。
また1月は資金が流入し、ポートフォリオが見直され新たな投資戦略が策定される月でもあります。

■ 2月にひと息

11月から1月の3か月にしっかり上昇すると、相場は2月にひと息つくのが通例で、調整するか揉み合うことが多くなります。
そして2月末から3月初めには再び上昇を始めて、「最高の6か月」が終わる4月まで上げ続ける傾向があります。

■ 3月のバトル

3月に入ると、株価は月初めに押し上げられて、月末に打ちのめされる傾向があります。
3月はしばしば強気と弱気が闘う場と言われます。株価は3月中旬頃から下げる傾向が強く、時にはかなりの急落を見せることがありますのでご注意を。

■ 4月への期待

4月はダウ平均とS&P500にとって「最高の6か月」の終わりです。
4月の間、市場は第1四半期(1~3月期)の収益結果に注目しています。ここでのポジティブサプライズが期待されやすく、相場は収益発表に先立って上昇します。

■ 5月では遅い

5月に売って、相場から離れなさい(セルインメイ)」という相場格言がありますが、近年では、5月まで待ってから相場を離れるのでは遅過ぎるようです。4月頃に手仕舞い、6~7月も相場から離れていたところで、良い収益機会を逃すことはほとんどないそうです。
ダウ平均とS&P500にとって、5月は「最悪の6か月の始まり」になります。

■ そして最悪が始まる

ナスダックは6月まで好調であることが多く、ナスダックの「最高の8か月」は6月まで続き、「最悪の4か月」が7月に始まります。
そして、すでに述べたように8月と9月のパフォーマンスはマイナスになることが多いです。

政治と相場──4年周期の絶好の買い時は

アメリカでは、大統領選挙が景気と株式市場に大きな影響を与えてきました。

景気低迷や弱気相場は、大統領の任期の前半に起こり、

景気好調と強気相場は、任期の後半に起こる傾向があります。

そして、最大の相場上昇は、大統領選挙の前年に起こりやすいです。

再選を勝ち取るために、大統領は痛みを伴う取り組みのほとんどを任期の前半に行い、

任期の後半になると景気刺激策を行って、有権者が投票所に出かけるときに最も好景気になるようにするからです。

政府は、大統領選挙の年に経済を良く見せて有権者を喜ばせ、不人気な政策の実行を翌年まで先延ばしにします。それに対して相場は、人気のある大統領の再選や不人気の大統領が政権の座を降りたことを祝福して、上昇します。

災害や金融危機などが突如発生して市場が暴落することもありますが、その場合はたいてい政権交代が起きます。2020年も新型コロナウイルスの猛威により、トランプからバイデンへの政権交代が起きました。

2000年(ITバブル崩壊)と2008年(リーマンショック)は例外でしたが、大統領選挙があった年に投資家が相場で痛手を被ったことは、ほとんどありませんでした。

2020年も新型コロナウイルスの悪影響を受けたにも関わらず、最終的に株価は戻りました。


2021年は大統領選挙の翌年で、アノマリーによればパフォーマンスはあまりよくないはずですが、新型コロナウイルスの影響で景気刺激策を取り続けたことが、株価上昇をもたらしてきました。

アメリカ大統領の任期は4年。この4年周期で絶好の買い時は、中間選挙の年の第4四半期になります。ちなみに、次の中間選挙は来年です。

アノマリーについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?
何もなければ(そんな場合の方が特殊かもしれませんが)アノマリー通りに動くことが多いようです。
逆に、相場がアノマリー通りに動かないのであれば、他の何らかの影響力のほうが強力だということであり、注意すべきという警告と受け取ることができます。

月替わりにはアノマリーについて思い出して、頭の片隅に相場の傾向だけは押さえておくとトレードしやすいかもしれませんよ!ハッピートレーディング!

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